総論賛成で、各論反対の改革
田中角栄はこんなたとえ話をした。一本の川が流れている。上流と下流に町がある。二つの町の代表が、代議士に橋を架けてくれと言ってきた。そのときどうするか。
①調査をして、より必要性の高い方に橋を架ける。
②そのうちにと言い続けて、何もしない。
③無駄だと思っていても、二つに橋を架ける。
角栄は①を選べば選挙で落選するという。なぜなら、橋を架けてもらえなかった町民の支持を失うからだ。これに比べて、②を選べば選挙は安泰だ。しかし、田中は③を選ぶという。
この流儀で田中は本州と四国を結ぶ橋を3つ架けた。もちろんこんな馬鹿げた計画に大蔵省は反対した。しかし、当時幹事長だった田中は、四国にいる大平正芳と三木武夫の二人の実力者に配慮して、強引に昭和45年度予算に組み込んだ。
こうして本州四国連絡橋公団ができ、小島・坂出ルート(瀬戸大橋)と神戸・鳴門ルート、尾道・今治ルートが出来たが、利用者はさっぱりで、累積赤字は4兆5千億円になった。その金利を払おうにも金融機関は金を貸してくれず、自治体から金を貸してももらっているが、これが地方の財政を圧迫し、破綻させようとしている。こんなことが、何十年間も全国各地で行われ、私たちはこれからさらにその負債に苦しめられているわけだ。
日本には既得権がばびこっている。これをだれも奪われたくはない。そこで、必死に抵抗する。政も官も財も思い切って体制改革しなければ日本が沈没することは分かっている。しかし、沈んでいく船のなかで、まだ既得権にしがみついて、それを手放そうとしない。
したがって、改革についてはいつも総論賛成で、各論反対ということになる。これでは前に進みようがない。こうして問題を先送りしていると、いずれ国債の暴落、スーパーインフレというカタストロフィーに見舞われるだろう。
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